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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2015/02/14

+Cな日々 その65
(バレンタイン☆すぺしゃるくっきんぐ)

 こんにちは、イリーナだよ!
 今日は2月14日のバレンタインデー。
 だから、だぁい好きなお兄ちゃんのために、チョコレートを作ることにしたの!

 イリーナ、お菓子つくるのははじめてなんだけど……でも、だいじょうぶ!
 すっごく上手なひとの心の中をほんのちょっぴりだけ覗いて、おいしいチョコレートの作り方を覚えちゃった!
 えへへ、お兄ちゃん、喜んでくれるといいなぁ……。

 (…………。)

「きゃあっ!」「えっ!」「あ、あつっ!」(どんがらがっしゃーん)

(なんだかしょんぼりしているイリーナ。手にはたくさんのばんそうこうが巻かれ、ぷくぷくのほっぺたにはチョコが付いている)

 はぁ……どうしてイリーナ、まだこどもなんだろう。
 手もちっちゃいし、身体もちっちゃいし……大人になれば、もっと上手にキッチンに立てるのかなぁ。

 せめてひなたみたいに早く動ければ、あんなふうにボウルを落とさなかったのに。
 神那子みたいな力があれば、世界でいちばん美味しいチョコを作り出せたのに……。

「あれ、イリーナ。なんだか悲しそうだけど、なにかあったの?」

 お、お兄ちゃん!?
 あ、そういえばイリーナ、完成したチョコをあげようと思って、お兄ちゃんのこと……!

 チョコレート、上手く作れなかったし……ど、どうしよう!!

「そうだ、今日はイリーナにおみやげがあるんだよ。はい、チョコレート。
 すごく美味しいお店があるからって、ひなたに無理矢理連れて行かれたんだよね。
 なんだかみんな目が血走ってて、すごく居心地が悪いところだったけど、チョコレートは本当に美味しかったから。イリーナと一緒に食べようと思ったんだけど……もしかして、もう食べちゃった?」

 え?

「だってほら、頬に……」

 ちゅっ、って。一瞬、なにが起きたのかわからなかったけど──。
 かああああって。ほっぺたが熱くて、真っ赤になる。

「ん、甘い。やっぱりチョコレートは美味しいね」

 お、お兄ちゃん! 「ん?」じゃなくて、もう!!
 こういうことしちゃだめでしょ! 今はたまたま、相手がイリーナだったからよかったけど……。
 ……って、イリーナ以外にはしないよ、って言っても、ダメ! ダメなものはダメ!

 まったくもう……でも、えへへ。
 しょうがないなぁ、って思うけど──イリーナは、お兄ちゃんのこと、だぁいすき、だよっ!

+ + +

「ところで……これ、お兄ちゃんが買った……わけじゃないよね?」
「うん、ひなたからもらったんだ。一緒にお店に行ってくれたお礼、とかで」

 上品で、なおかつ可憐な、いかにも高級そうなチョコレートの箱を無造作に開け、精緻な芸術品にも似たトリュフの一粒を平然と差し出すその姿に。

「もうっ! これだから、お兄ちゃんは!!」

 ──美味しいチョコレートもどこへやら。
 しっかりものの妹による盛大なお説教が始まったのは、想像に難くない展開だった。


作:ありあけ