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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2013/03/05

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高度政令都市

 コールター氏が四度目の緊急国際会議で超法規的都市構想を提案したのはスターティングコールが起きた2013年から一年も経っていない(国際会議は10月23日に開催されたので6ヶ月後ということになる)。

 当初、コールター氏が提案した超法規的都市構想は賛同を得られなかったと記憶している。ヴァリエンティア達(この頃はまだヴァリエンティアという名称すらな かった)を指定した区域で教育することが、スターティングコールの被害者である子供達を牢獄に閉じこめることと同じだと感じたためだ。

 だが、しばらくしてヴァリエンティアによる超能力事故(他のメディアでも何度も訴えているが、これは「事故」であり「事件」ではない。故意に起こされた損壊や損傷ではないのだ)が社会問題になると、超法規的都市構想に対する風潮は一転する。

 翌年、2014年2月にアメリカ合衆国で学園都市設立法案が可決されると、それから一ヶ月も待たずして日本でも同様の法案、高度政令都市法案が可決された。

* * *

 高度政令都市は「能力者の教育」と「超能力研究」が主な目的である。そして「能力者の教育」には一般的な教養と能力の制御方法を修得という二つの意味があり、なかでも能力の制御方法をヴァリエンティアに修得させることが高度政令都市の存在理由といっても良い。

 彼 らの中には手も触れずにコンクリートブロックを粉砕したり、鋼鉄を溶かすほどの高熱を発生させるといった強い能力を持つ者もいる。そんな高レベル能力者が力をコントロールできず、暴発などしてしまえば甚大な被害が出るは避けられない。彼らが私達の社会で暮らすためには能力の制御方法を修得するのは必須だ。

 さらにヴァリエンティアの数は日本だけでも200万人を越える。そんな膨大な人数を教育するためには、大規模であり、専門的でもある施設を有する場がでなければ不可能だ。

 広大な超能力演習場、巨大な超能力測定装置を多数完備した試験施設、さらに能力によっては特例処置を取り付けなければ法律的に測定すらできないものまであるため、高度政令都市は法的にも特例区域でなくてはならい。


──猪瀬忠明著『高度政令都市構想』より抜粋

作:昌和ロビンソン