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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2014/10/31

tips058
超能力研究 1

 私が超能力とヴァリエンティアたちの研究を始めたのは2016年からなので、当初からこの分野に携わっている研究者だと言えるだろう。
 そんな私が現在、研究を進めているのは『超能力と脳の関係』で、中でも覚醒時と睡眠時に発動する能力についてだ。

 一般的にヴァリエンティアは超能力を意識的に使っているように思われているが、それはセーフティースペルによって意識的に超能力をコントロールする訓練を受けているからだ。
 スターティングコールから数年後、超能力の暴発事故が多発した事で我々はセーフティースペルを考案した。
 それは超能力が無意識的に発動してしまうものであると示している。

 だが、これまでの研究で「超能力は無意識(または睡眠時)でも発動する」という結果と「超能力は無意識(または睡眠時)では発動しない」という相反する結果がでてしまった。

 具体的には、サイコキネシス(念動力)やパイロキネシス(発火能力)などは無意識では発動しない。超能力を発動している最中に、何らかの理由でヴァリエンティアが昏倒し意識を失うと超能力はその効果を失う。
 この結果から「超能力は無意識(または睡眠時)では発動しない」と言えるだろう。

 だが、超能力の中には無意識でなければ発動しない性質を持つものもある。
 代表的なのが「予知夢」と呼ばれている超能力だ。
 これは予知能力に分類されている超能力で、その名の通り、夢を見るという現象で予知を行う。
 予知夢の存在から意識的(覚醒時)でなくても超能力は使えるということがわかる。

 つまり覚醒時と睡眠時、または意識的と無意識で発動する超能力と、できない超能力が存在することになる。

 この二つの分類にどのような違いがあるのか?

 そこで私は、主に無意識や睡眠時に発動する超能力について調べ始めた。
 これまでの膨大な研究資料を見返してみると、無意識(または睡眠時)には発動しないと思われていたサイコキネシス(念動力)やパイロキネシス(発火能力)を睡眠時に発動しているケースを発見した。

(中略)

 個々のケースは極希な症例だったのだが、無意識(または睡眠時)に超能力を発動している、と言う条件で見てみると「極希な症例」にしては多すぎると感じられる数字になった。

(中略)

 これは、ある可能性を示している。
 無意識に超能力を発動させ続けているヴァリエンティアが存在するかもしれないのだ。

 例えば、アレイク博士によってアンダーポイントと名付けられたヴァリエンティアたちの中に、本人にも自覚なく、なにかしらの超能力を常時発動させ続けている者がいた場合。

 それがアレイク試験で使う機器の多くで検出できないESP能力だと、そのヴァリエンティアの能力を正確に測定することができない恐れがある。

 それによって、本人もその周りの人間も超能力の発動を認知できず、知らず知らずの内に長期間超能力の影響に晒される、という危険な状態を招く恐れがあるのだ。

 この場合、本人や周りの人間が自覚症状が出るほど強い影響を受けなければ発覚しない。もしも、その超能力がどれほど影響を受けても(または、影響を受けるほど)自覚症状が現れないものであった場合は、永久に発覚することはない。
 人体や精神になんらかの影響を与える超能力だと、最悪の事態を招く恐れがある。

 しかし、このような超能力に対して、我々はどう対処すればいいのだろう?

 残念だが、私は思いつかない。

──佐久間守著『考えるオシロスコープ』より抜粋


作:昌和ロビンソン