生徒を取り締まる権利を持つ生徒、またその組織が生徒会だ。
生徒会という組織ができた当初は、あまり議論されていなかったと記憶している。外部の人間からすると「地域をパトロールと称して散策する子ども会」のような印象を持っていたからだろう。
高度政令都市上層部も世論に対してそんなイメージを生徒会に持たせようとしていた節がある。
だがしばらくして生徒会は問題があるのでは? という意見がでるようになった。
実際に設立した生徒会は「生徒会幹部」を頂点とし、「統括司令本部」「広報部」「執行部」「教育実習部」「運営委員」など、驚くほど本格的組織形態を持ち、さながら生徒達による軍隊のようだった。
もっとも注目されたのは「執行部」だ。およそ1000名の高レベル能力者が「機動隊」と呼ばれるおよそ100の部隊に編成され、生徒が能力を悪用しているという報告を受けると直ちに出動する。
さらに出動する際は武装することまで許可されており。高都自警(結波高度政令都市自治警察)ほどの重装備ではないにせよ、警棒などの明らかな武器の携行を行う。
そして最も危険性を指摘されたのが、執行部が任務にあたる場合、その能力の使用が許可される点だ。特別指定生徒(生徒会役員)は高レベル能力者の中から選ばれ、さらに機動隊に所属する生徒は、その中でも攻撃的な能力を持つ生徒達ばかりだ。
鉄を焼き切るほどの発火能力や、車両を軽々と宙に浮かせる念動力を同年代の生徒にむける。いくら能力を不正使用したとはいえやりすぎではないのか? 生徒会役員と違反者の双方にとって良くないのでは? そんな議論がなされた。
だが現在、生徒会という組織を疑問視する声はほとんど聞かない。むしろ結波高度政令都市以外でも生徒会制度を取り入れようという動きすらある。
1人の違反者のために軍隊を出動させるのは経済的ではない。
実に単純な理由だ。
──著者不明
作:昌和ロビンソン