結波高度政令都市(以下、高度政令都市)は日米都市運営規約(以下、運営規約)により、自治権を認められている。つまり日本にありながら沖縄県警察はもとより、警察庁も介入ができない地域ということだ。
そこで治安維持のため独自の警察組織を持つことが許された。それが高都自警だ。
高都自警に関する記述は運営規約の第3項に記されている。高度政令都市の建設が決まった当初から高都自警の必要性が考えられていたためだろう。*1
高度政令都市で起きた様々な事件に対処するための警察機構という位置づけだが、その特殊な環境上、想定される危機は他の地域よりも重大になると判断され、特殊部隊並の銃火器を装備を許可されている。*2
設立当初、高都自警は人員確保のため多くの警察関係者や自衛隊関係者などを引き抜き、そのまま一般警察部と警邏隊となった経緯がある。現在は日米関係を象徴するようにアメリカ軍人、FBI捜査官、CIA職員など様々な経歴を持つ人材が多く在籍しているようだ。
通常業務は一般的な警察組織と変わらない。警察官と同等の逮捕権を持ち、高度政令都市で発生した犯罪を取り締まる組織だ。
最大の違いは能力犯罪に対処することを前提にした「警邏隊」の存在だろう。
能力者(ヴァリエンティア)の年齢が上がってきたことで、それまでになかった「故意に能力を悪用する者」が出始めた。
一般的な警察官では彼等に対処することはほぼ不可能であるため、専門的な訓練と装備を持つ「対能力者部隊」が必要になる。
高都自警全体の内、警邏隊の割合は5%にも満たないが、所属する人員は元軍人や元特殊部隊隊員などで構成されている。一時は「過剰な武力」や「軍隊と変わらない」などの批判が出たこともあった。
また、大人が子どもを武力で制圧するという倫理的な問題も取りざたされたが、現在、結波高度政令都市が採用している生徒会制度により、出動件数が激減しているため「万が一のために存在している部隊」と上層部は主張している。*3
そのため高都自警に対する批判的な声は聞かなくなった。*4
*1 後に設立された生徒会は、改正後の運営規約23項に記されている。当初の運営規約は第12項までしかなかった。
*2 高都自警の装備はACA(アクアリウム・コンバット・アームズ)社により製造されたPDW・A9やサイド9などである。これらの銃火器は5.7ミリ弾を使用するため特殊部隊以上の装備といえるかもしれない。
*3 隊員達も出動していない間は、一般警察部の業務を行う。主に内勤を行い、本部に駐在している。出動命令が出た際は数分で武装を整え、現場へと向かう。
*4 批判的な意見が出ない理由について、情報操作が行われていると主張している者がいるようだが、それは根も葉もない主張だろう。
──松原良太郎著『我々が知るべき結波市』より抜粋
作:昌和ロビンソン