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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2013/03/22

+Cな日々 その11
(さあ、お着替えです)

 風澤望はアンダーポイントである。

 ひょんなことから、イリーナ・アンダーソンの『お兄ちゃん』になった。

「お兄ちゃん、見て見て」

 織戸神那子と話をしていた望のところに、イリーナが駆け寄ってきた。
 そして全身が見えるようにくるりと一回転した。

「イリーナ、その格好、どうしたの?」
「ドレス、ですか?」

 望と織戸がイリーナを見て驚いた。
 少女は制服ではなく、豪華なドレスを着ていたのだ。

「かわいいでしょう? クラスのみんなが持ってきたの。どう、お兄ちゃん、似合う?」

 イリーナに、そのドレスはよく似合っていた。
 着る人を選ぶ服だったが、上手に着こなしている。

「すごく似合ってる。お人形さんみたいだ」
「ねえ、神那子は? かわいい?」
「はい。お化粧をすればお姫様ですね」

 二人に褒められ、イリーナは嬉しそうに笑った。
 すると、少女の周りに数人の女子生徒がやってきた。
 彼女たちは、興奮した様子で各自が手にした服……というよりも、衣装を見せる。

「イリーナちゃん、もう、充分、風澤くんには見せたよねッ」
「次があるから、ね。ほら、これもかわいいよ」
「着替えしましょう、早くしないと昼休みがおわってしまう」

 彼女たちが、衣装を差し出す。
 さらにレースが過剰なドレスやメイド服、体操着、パンク系などが並んだ。
 中には、幼稚園の制服まである。

「イリーナ、このお洋服、もっと着ていたのに」

 ちょっとすねたように口をとがらせる。
 女子生徒たちは、一瞬たじろいだがすぐに元の勢いを取り戻した。

「でも、こっちの方が」
「ね? これも似合うよ」

 さらに勢いは増していく。
 ついに彼女たちの矛先は、イリーナ以外にも向けられてしまった。

「織戸さんッ」

 その矛先は、近くにいた最重要能力者へと向けられた。

「は、はい」
「織戸さんって、スタイル良いし、顔も良いから、こういう服、似合うと思うの」
「……はあ。ですがサイズが合いませんね」
「ああ、そうか残念ね」

 女子生徒たちが、持参した服はイリーナに着せるために持ってきた物だ。
 織戸が着るには小さすぎる。

 が、彼女たちは諦めなかった。

「それじゃあ、コレをつけてみてよ」

 差し出したのはヘッドドレス。
 メイドさんが、頭に乗せているアレだ。

「ですが……」
「大丈夫、大丈夫。ほら、つけてあげる」
「あの、あ……」

 あっと言う間に、織戸の頭にヘッドドレスが装着された。
 ワッと周囲から、声が挙がる。

「やっぱり似合うッ。想像以上に似合ってるよ、織戸さん」
「そう、ですか? 似合っているんですか?」

 織戸が、望に視線をおくる。
 その頬が、わずかに赤くなっていた。

「やはり、おかしいですよね?」
「ぜんぜん、僕もかわいいと思うよ」
「か、かわ……ありがとうございます」

 織戸が下を向いた。

「あなた達、いったい何を騒いでいるのッ!!」

 騒ぎを聞きつけて、一条ひなたがやってきた。

「……って、お、織戸さん。どうしちゃったの?」

 ひなたが、ヘッドドレスをつけた織戸を見てギョッとする。

「これは、その……」

 織戸が口ごもる。
 代わってイリーナが答えた。

「みんなが似合うからつけて、って頼んだの。でも似合うでしょ? お兄ちゃんもかわいいって」
「望も?」
「そうだよ……ね? お兄ちゃん」
「うん、そうだね」

 ひなたが織戸の姿と望の顔を交互に見た。

「こういうのが好きなんだ」

 と、つぶやく。

 そんなひなたを、女子生徒たちが取り囲んだ。

「一条さんもどう?」
「これとか、これとか……思い切ってこれとか?」
「それはちょっと……」
「一条さんってかなりイイ線いってるからイケるんじゃない?」
「そうそう、一条さんならきっとかわいいよ」
「……そうかな?」
「そうだよ、きっと似合うよ」
「ね? つけてみよう」
「……じゃあ、少しだけ」
「よし、決まりね……はい」

 ひなたが、望たちの前にやってきた。

「どう、かな? 変じゃない?」

 顔を真っ赤にしたひなたがたずねる。
 その頭には、猫耳が生えていた。

「……」

 望やイリーナ、織戸が、ひなたを呆然と見つめる。

「なッ、なによ、その顔ッ!!」

+ + +

 風澤望はアンダーポイントである。
 イリーナ・アンダーソンと織戸神那子。
 そして、一条ひなたの三人の美少女と特別な間柄だった。

作:津上蒼詞