アクアリウム社が運営している『Shell(シェル)』は世界でも広く流通している電子マネーだが、日本の高度政令都市では、Shellが通貨として使用されている。中でも、建設時からアクアリウム社を起用している結波市は、日本円が使用できないほどだ。
高度政令都市で暮らしている学生達が所持している学生証に、Shellが電子マネーとして使用されているのは有名だ。
これは本来、電子マネーが持つ迅速な決済システムという利点よりも未成年者である学生達に、現金を持たせない、という点が大きい。
学生達のほとんどは、親元を離れ、高度政令都市で寮生活を送っている。自分達の目が届かない場所で生活しいている彼らが、何にお金を費やしているのかを心配するは、親としては当然だろう。
学生証というIDとして機能しているモバイルを介することによって、Shellは彼ら、学生達にとって有害な商品の購入を止めることができる。
タバコやアルコール類、成人誌といった商品の購入をさせないのはもちろんだが、その他、不正な金品の取引に彼らが関わることを阻止することもできるため、高度政令都市で、Shellを通貨として使用するのは学生の親達から大いに歓迎された。
また、電子マネーというデジタル情報によって商品の売買が記録されるため、どの地域でどんな商品に人気が出ているのかもリアルタイムで企業は知ることができるため、それが徹底している高度政令都市は、若者向け商品を開発している企業が、先んじて新商品やサービスを試す場としている場合が多い。
このShellが持つ売買情報は、いつ、どこで、なにを購入にした、のかまで詳細に記録されているが、企業に提供されるのは非常に限定的な情報にすぎず、プライバシーの侵害にはならない。
また、子供の売買情報を閲覧できるようにするべきだという要望は、当初から生徒の親達から多く出ていたが、この意見に対して、Shellを運営しているアクアリウム社は「たとえ、親族であろうとも第三者にShellの売買情報を閲覧できるようにするのは規約違反となるため、今後も考えていない」と明言している。
高度政令都市に隣接する土地に暮らしている住民や学生に会いに来た親などは、プリペイド方式でShellでの決済が可能となるShellカードを購入してから足を運ぶことをおすすめする。
Shellでの決済システムが徹底している結波市などでは、その境界線に位置している名護市やうるま市、恩納村などでは、結波市との経済流通の活性化の点から広くShellを扱うようになってきている。
今後、Shellは電子マネーとして確固たる地位を築いていくのだろう。
――笹街正著『現在の経済システム』より抜粋
作:昌和ロビンソン