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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2013/07/26

+Cな日々 その24
(3人でお買い物)

 一条ひなたは執行部のエースである。
 そして織戸神那子は最重要能力者で、イリーナ・アンダーソンは第二世代能力者である。

+ + +

 昼休み。
 ひなたと織戸、そしてイリーナの三人は、校内ストアへとやってきた。

「ここのストアは、品ぞろえが豊富だから、きっといいモノが見つかると思うわ」

 そう言うと、ひなたはストアの一角へと2人を連れていった。

「たくさんありますね。この売場、全てですか?」
「わあ、いっぱいある。どれにしようかな?」

 商品棚には、ずらりと学生証ケースが並んでいた。

 3人がここへやってきたのは、イリーナの学生証ケースを選ぶためだ。
 昼休みに3人で昼食を食べていると、イリーナがおもむろに取り出した学生証を見て、ひなたと織戸が「ケースに入れずに学生証を持ち歩くのはよくない」と指摘した。
 高度政令都市で暮らしている学生たちは、学生証とよばれる、通話、メール、電子マネーなどの機能を持つ、モバイルを所持している。学生証の名の通り、身分証明証の役割も持っているため、常に携帯していることが義務づけられているが、精密機械であるため保護用のケースに入れて持ち歩くのが一般的だった。
 イリーナは、最近になって結波市へとやってきたため、ケースを買っていなかったのだ。

「……いっぱいあって、迷っちゃう」

 売り場を見渡したイリーナは、困ったようにつぶやいた。

「……ねえ、ひなた。神那子。2人はどんなケースを使っているの?」
「参考になるかわからないけど……あたしのはこれよ」
「私のケースですか? ……どうぞ、これです」

 そう言って、ひなたと織戸が自分の学生証をイリーナに差し出した。

「ひなたのケースはシンプルだね。赤いぷにぷにで、できてる」
「シリコンケースよ。これが一番、耐久性に優れていると思ったからね」

 イリーナはシリコンケースの手触りを確かめながら学生証を見回す。と、少女はあるモノに気づいた。

「あ、かわいいのが付いてる。これは?」
「イヤホンジャックのアクセサリ。こういうのもストアで買えるはずよ」
「星型に型抜きされたミニプレートですね。シンプルですがいいデザインだと思います」
「そう? ありがとう。織戸さん」

 続いてイリーナは、織戸の学生証に目を向けた。

「神那子のケースはレザー製なんだ。手帳みたい」
「織戸さん。これって、本革なの?」
「そうらしいです。親しい方からのプレゼントなので、詳しくは存じませんが、手触りがよいので気に入っています」
「すべすべしてる。気持ちいい」

 ひなたは、織戸のケースを見つめて苦笑いを浮かべた。

「たぶん、これってオーダーメイドじゃないかしら? だとしたら、すごく高価なモノよ」
「どうなんでしょう? 私には、よくわかりません」

 織戸が自分のケースを見ながら小首をかしげる。
 そんな彼女を見つめるひなたは、自分に言い聞かせるように小さくつぶやいた。

「……うん、知らない方がいいと思う。きっと」

 それからしばらく、3人で売場を見て回った。
 ストアの品揃えが豊富だったため、なかなか決められなかったが、イリーナがある商品を見て目を輝かせた。

「これ、かわいい」
「いいんじゃない? イリーナにあってるわよ」
「そうですね。かわいらしいケースだと思います」

 イリーナが目をとめたのは、動物の形をしたケースだった。学生証の上部にそれぞれの動物の耳が飛び出ているデザインだ。

「見て、見て。後ろにしっぽもついてる……でも、お顔がないよ」
「そうね。こんなデザインなのかしら?」
「いえ、違うようです」

 商品のパッケージを眺めていた織戸が、裏の説明文を読みながら答えた。

「どうやら、専用のアプリケーションがあるようです。それを学生証にインストールすると……こんな風に、ディスプレイに動物の顔が表示されるようです」

 織戸がパッケージの裏に載っている写真を見せると、イリーナの表情がパッと明るくなった。

「イリーナ、これにする。このクマさんのにする!」

 こうして3人は、無事に買い物を終えることができた。
 イリーナはクマのケースを購入すると、さっそく専用のアプリをインストールする。そのアプリは、ディスプレイにクマの顔を表示させるだけではなく、デジタルペットの機能も兼ね備えていた。

+ + +

 この日以来。イリーナは自分の学生証を『リッキー』と呼ぶようになった。


作:津上蒼詞