仕事で沖縄にやってきたのは、前回の投稿『沖縄でロードレースの企画が立ち上がった!』に書いた通りです。
ちょっとしたゴタゴタはありました(←智ケン、お前のせいだぞ!)が、なんとか仕事を終えたので、私にはまるまる一日、空きができた。
一日中、ホテルでごろごろしているのもアリだったが、せっかく沖縄まできたのだから色々と見て回ることにした。
今回の移動手段も、もちろんレンタルバイク。
さっそくレンタルアクア那覇支店へバイクを借りに行く。TR500とSS1100Rのどちらにしようか迷ったけど、SS1100Rが定番カラーのストライプストライクだったのでそちらに決めました(ちなみにTRの方は、レーシングブラックだった)。
私が沖縄に来たのは、これで3度目。だいたいの名所には、すでに行ったので、今回は結波市に行ってみることにした。
知っての通り、結波市は国から高度政令都市に定められたヴァリエンティアの少年少女たちが暮らしている超能力を研究している場所だ。
だが、その独特な景観を目当てに観光目的でおとずれる旅行客は多い。私も、一度、行ってみたいと思っていた。
SS1100Rにまたがって結波市へと向かう途中、コンビニでShellのプリペイドカードを購入する。結波市では、全ての支払いが電子マネーのShellで行われているためコレがなければ買い物や食事ができないからだ(←意外にも、これを教えてくれたのは智ケンだった。まあ、これで仕事のことは許してやる。正直、助かったよ。サンキュー)。
国道329号を走って、うるま市から結波市に入る。都市に出入りするための物々しいゲートを見て、少し萎縮したが、前日にウェブで取得していたパスコードを確認してもらった後は、すんなり市内に入ることができた。
結波市に入ると、あたりの景観がガラリとかわった。
穏やかな沖縄の田舎がつづいていたと思ったら、いきなり高層ビルが建ち並ぶ大都市のオフィス街が現れた、と言う感じだ。
正確には、そこは研究地区なのでオフィスではなく研究所なのだが、その景観は「大都市のオフィス街」と言う表現がぴったりだろう。
結波市のランドマークであるセントラルタワーは、遠くからでもはっきりとわかるほどの存在感を放っていた。
それから市道2号線(オーシャンライン)にそってしばらくバイクを走らせていると、またもや景観ががらりと変化した。
大都市のオフィス街から、今度はオーシャンリゾート地だ。そう、あの有名な結波市の学生地区についたのだ。
真っ白な砂浜の海岸線とヤシの木、そして建ち並ぶ高級リゾートホテル――正確には、学生寮なんだけどね――という街並みは、数年前に訪れたハワイを思い起こした。
バイクを路肩にとめて、ビーチを背に心地よい潮風を浴びながら学生地区を見渡してみる。まるでオワフ島かドヴァイにでも来てしまったような錯覚に陥った。
沖縄はもともと南国風の土地だが、それでも結波市は特別な場所だと思う。
どこまでも続く、白い砂浜。
街路樹として植えられたヤシの木。
50階建ての真っ白な学生寮。
外国風のクラシカルな形をした路面電車。
それは日本だとはとても思えない光景だ。観光目的に結波市を訪れる旅行客が多いのもうなずける。ここに来て良かったと思った。
それから結波市を訪れて思ったことがひとつある。
職業柄、初めて訪れる土地では、その場所の道路環境や交通事情などに注目してしまうのだが、高度政令都市という特殊な場所だと、それらも特殊だった。
まず、交通量が圧倒的に少ない。
人口の多くが学生なので自動車を所有している者は、ほとんどいないからだ。
後になって調べてみたのだが、結波市の学校の多くが免許の取得と自動車通学を禁止している。さらに許可なく市外に出られない生徒たちが、免許を取得するために市外の自動車学校に通うのはほぼ不可能だろう。
したがって、免許を持っている生徒は例外中の例外だということになる。
道路を走っている車両は、路面電車と運送トラックぐらいだ。自家用車も研究地区で何台か見かけたが、学生地区となるとほとんど目にしなかった。
それに路面電車がかなり発達しているらしく、そこで暮らしている者たちにとっては、それで充分であるらしい。タクシーも見かけなかった。
印象的だったのは、路肩に止めてあったSS1100Rを学校帰りと思われる数人の男子学生が物珍しそうに見ていたことだ。
道路事情が上記のような場所なので、バイクに乗っている者など皆無なのだろう。あの男子学生たちにとっては、フルカウルのスポーツバイクであるSS1100Rは、マンガやアニメから出てきた乗り物に見えたに違いない。
きれいに整備された道路があるのに、そこを自動車やバイクがほとんど走っていないのが少しもったいない気がした。
とはいえ、逆に結波市らしいモノが走っているのを目撃したことを付け加えておく。
それは早めの夕食を取った私が、ホテルに帰ろうとSS1100Rを走らせている時だった。
私のSS1100Rを、ものすごいスピードで『セーラー服姿の少女』が追い抜いていったのだ。60キロ以上は出していたので、『彼女』は100キロ以上のスピードは出ていたに違いない。
それを見た瞬間は、さすがに我が目を疑ったが、すぐに『少女』が超能力者であるのだと理解できた。確か、ヴァリエンティアの中には、高速移動という移動速度を上げる能力があったはずだ。
夕焼け色に染まった湾岸線を超高速で駆け抜けていく『セーラー服姿の少女』とは、まさに結波市でしか見られない光景だろう。
思わず「さすが高度政令都市、これはまいった」とつぶやいてしまった。
──個人ブログ『鈴原杏子のモーターサイクルダイヤリーズ』より抜粋
作:昌和ロビンソン