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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2014/03/07

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発電所

 結波市の電力をまかなっているのは、研究地区の海沿いに建てられた結波火力発電所だ。
 その特徴的な三本の巨大煙突は、研究地区のランドマークであるセントラル・タワーにもひけを取らないほどの重厚な存在感をかもしだしている。

 結波火力発電所は結波市の建設以前から金武町あった金武火力発電所を増炉、改修した発電所である。
 高度政令都市として金武町、宜野座村、名護市南部が結波市に併合されるのに合わせて、アクアリウム社に管理業務が移行された。
 アクアリウム社の傘下であったアクアリウム・デルタエネルギー社により、石炭を燃料として発電を行っていた同発電所はメタンハイドレートと石炭の混合燃料(*1)を使用する世界初の火力発電所へと改修され、わずか5年でボイラー建屋は二棟になり、発電機も6基へ増炉された。*2

 驚かされるのは、これだけの発電施設が生み出す膨大な電力量の40パーセントを結波市で消費しているという数値だ。*3
 大都市かそれ以上の近代化が進められた高度政令都市には、大規模な研究施設はもちろんのことそこで暮らしている多くのヴァリエンティアや研究者、その関係者たちの住居、公共施設、商業施設、アミューズメント施設などが一カ所に集約している。
 その電力を維持するためには、沖縄でもっとも発電量の大きい結波火力発電所が必要不可欠であり、特徴的な三本の巨大煙突も含めてそこに暮らす者たちから親しまれている。*4


*1 『CN+7』メタンハイドレートの埋蔵量が世界最大規模である日本は、これをエネルギーとして活用する方法を長い間模索していた。2013年ごろまでは、メタンハイドレートの有効な活用方法にめどがたっていなかったが、アクアリウム・デルタエネルギー社によって石炭との混合燃料として運用する画期的な技術が考案された。
 現在では、大型の発動機の燃料として、メタンハイドレートを使用する場合は燃料=CN+7というほど広く利用されている安価で安定した混合燃料。


*2 金武火力発電所であった頃は、2筒身集合型の煙突がひとつ、ボイラー建屋とタービン発電機建屋は各1棟、そこに2基の発電機、さらに燃料貯蔵施設や排水処理施設といった周辺施設で構成されていた。

 また、勘違いされやすいところだが結波火力発電所の特徴的な三本の巨大煙突は、六本の煙突が二つずつで纏まった姿である。


*3 発電量の残り60パーセントは、沖縄県へ送電されており、結波火力発電所は結波市だけではなく、沖縄県にとっても重要な発電施設となっている。


*4 結波火力発電所のキャラクター、『でんりょ君』はかわいらしい見た目に反して、毒舌混じりのシュールなコメントをするキャラクターとして結波市はもとより、県内外からも人気を集めている。
 現在、でんりょ君の関連商品は、観光客向けのお土産や一般的なキャラクターグッズとして市内のいたるところで販売されている。


──松原良太郎著『我々が知るべき結波市』より抜粋

作:昌和ロビンソン