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制作:textscape

2014/05/02

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琉球紅茶

 琉球紅茶は、甘い芳醇な香りとコクのある濃厚な味わいを持つ沖縄県産の紅茶だ。
 その品質は、紅茶の本場、イギリスやインドの紅茶メーカーが買い付けに来るほど、世界的に高く評価されている。最高級グレードになると、100グラム2万円を超えるような破格の値を付ける。

 琉球紅茶の味は、濃厚な味わいを持つものの渋みが強くないのでストレートティーに向いていると言えるが、ミルクを入れても風味が薄れないので、ミルクティーにして飲まれることも多い。

 また、大手紅茶メーカー、「マーメイドヘア(アクアリウム社)」などが、琉球紅茶を使ったブレンドやフレーバーティーを多数商品化している。各社の商品は、安価で様々な風味を楽しめることから、一般的には、こちらの琉球紅茶が飲まれている。
 特に、マーメイドヘアが発売している「アフタヌーン」「アールグレイ」「ロイヤル」のシリーズは、老若男女にかかわらず非常に人気が高いことで有名だ。


 琉球紅茶が栽培されているのは沖縄本島の中部から北部の地域になる。この地域は赤土という乾いた酸性の土壌のため、一般的な作物の栽培には適していない。だが紅茶の栽培には、そんな過酷な環境こそが望ましいと言われている。
 さらに沖縄県は、世界有数の紅茶生産国であるインドとほぼ同じ緯度に位置するため、気候条件も紅茶の栽培には適していた。

 近年では、沖縄県の特産品に琉球紅茶をあげる人も珍しくないほど定着しているが、紅茶の栽培が始まってから20年ほどしかたっていない。

 琉球紅茶の栽培は2005年ごろから始まり、スターティングコール以前にも高級紅茶として商品化されていた。だが、生産量が多くなかったため、現在ほど一般的に親しまれるような紅茶ではなかった。

 茶葉の栽培が本格化するのは、スターティングコールの数年後、2014年ごろからになる。

 その年、国会で高度政令都市法案が可決され、続いて日本とアメリカとの間でカルフォルニア条約が受諾された──と言えば、ピンとくる人もいるだろう。

 結波市の建設が、琉球紅茶の栽培に大きく関係している。

 結波市は金武町、宜野座村、名護市の南部が統合される形で誕生する。
 しかし、単なる市町村の統合ではなく、高度政令都市の建設を目的としていために、地元住民は転居を余儀なくされた。
 当然、転居のための補償はあったが、サトウキビやパイナップル栽培などで生計を立てていた多くの農家が職を失うことになってしまった。

 そこで国と県がアクアリウム社の全面協力のもと、彼らに琉球紅茶の栽培を促進した。

 新たに茶業を始める農家には、アクアリウム社から苗木が無償で提供され、栽培のための勉強会も行われた。また紅茶の栽培は苗木の育成から収穫までに数年を要するため、その間の援助金も国から出るなど、様々な手厚い補償が受けられた。
 さらに収穫した茶葉はアクアリウム社が買い取り、商品化、販売をする契約を事前に結んでおくことで、農家の負担も少なくて済んだ。

 この制度により、多くの人が琉球紅茶の栽培を始めることができた。


──斉藤正孝著『ビジネスモデル~「革命」ではない~』より抜粋

作:昌和ロビンソン