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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2014/06/20

tips049
レディオマジュムン

YNRから最高にクールでホットなナンバーをお届けするぜ!

 DJマジュムン氏はネットラジオ『レディオマジュムン』を放送している人気DJ。彼とその番組は放送開始から現在に至るまで、多くのヴァリエンティアに支持されている。
 そのため高度政令都市発祥の若者文化「ネオ・ユースカルチャー」に大きな影響を与えたのは間違いないだろう。

 DJマジュムン氏が『正体不明のオレサマDJ』としてレディオマジュムンの放送を開始したのは2025年。生徒会が大容量量子サーバー群からなるクラウドシステム『アルピニア』を一般学生に解放する前だ。

 2025年。当時、一般の学生達が使っていたのは、結波市に点在するいくつかの学生証用サーバーによるネットワークシステムだった。ユーザーが使用できる容量と通信速度に限りがあり、テキスト投稿掲示板や簡単なSNSといったサービスが主流だった。

 DJマジュムン氏は『さんにん』という音声ファイルを共有できるサイトで録音した番組の投稿を始める。この時、『さんにん』に投稿した音声データに『ネットラジオ』というタグをつけたのもDJマジュムン氏が初めてだ。

 レディオマジュムンの放送(投稿)が開始されると、結波市の学生達の注目を集める。DJマジュムン氏の軽快なトークとクールな選曲は、学生達の心を鷲掴みにし、口コミや学生証のSNSによって瞬く間に大人気となった。

 その後、学生証用のネットワークシステムがアルピニアに移行したことで、『さんにん』がアルピニア内で『YNR(結波ネットラジオ)』としてリニューアルされる。
 DJマジュムン氏はこれまでの録音番組に加えて、生放送の『レディオマジュムンLIVE』を始めた。
 生放送の強みであるリアルタイムなリスナーとのコミュニケーションによって、彼とレデオマジュムンはさらに爆発的な人気を得た。


 現在のDJマジュムン氏は、『レディオマジュムン』『レディオマジュムンLIVE』だけに止まらず、生徒会主催のイベント『サマー・フェス』や『ウインター・X'mas』などの大きなイベントに音声で特別出演、進行役を勤めるなど幅広い活動を展開している。

 また、アルピニアが結波市以外の高度政令都市でも視聴できたおかげで、彼の人気は他の高度政令都市にも広がり、現在ではアルピニアが全国からアクセスできる仕様に変わったことで、その人気はヴァリエンティア以外の一般人にも広がりつつある。


 しばしば、アルピニア内や他のネット上でDJマジュムン氏に関する噂が流れることがある。
「彼は実在しない(実体がない)」
「AIや人工知能である」
「彼こそオリジナルの正体」
「本当は女性」
「実は子供(第二世代能力者)」
「DJマジュムンは数人のグループ」
「海外のプロのアーティスト」
 ──などだ。

 このような噂が流れるのは、彼がトークの才能だけはなく、様々なジャンルの知識、楽器の演奏や作曲などの音楽的才能、ストリート系アートの才能など多彩な才能を持っていたことと、自らの正体を一切明かしていないためだろう。

 その声と口調から、多くのリスナーは男性であると考えており、本人も番組内で「言っておくが、コレは地声だぜ?」と発言している。
 だが、声や口調は機械を使えば簡単に変えることができるため確証はない。

 DJマジュムン氏が『さんにん』の頃から活動していることから、ほとんどのリスナーは彼を「結波市の男子学生(中でも一期生)」と認識しているが、この条件なら研究者や学校教師など結波市の関係者である可能性も否定できない。

 このような噂は、DJマジュムン氏が公の場に姿を晒せば解消されるのだが、今のところその様な素振りは全くない。彼がリスナーの前に出てくることはないだろう。

 今後もDJマジュムン氏には、この手の噂がつきないはずだ。


*ちなみに『マジュムン』とは、沖縄の方言で妖怪や魔物という意味。DJマジュムン氏は様々な名称に方言を使うことが多い。彼が沖縄出身だと思っているユーザーも多いが、口調やイントネーションは標準語。本人もそれには言及していない。そのため沖縄出身なのか定かではない。


──『週間ミュージックストック Wed版』より抜粋

作:昌和ロビンソン