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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2014/07/18

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大学建設

 2027年頃から、高度政令都市では大学(または専門学校)の建設が行われているが、今年、2029年から着工している件数は建設ラッシュと言っても過言ではない。
 これは来年度から「1期生(*1)」と呼ばれている、現在高校三年生のヴァリエンティア達が大学や専門学校に進学するためだ。

*1 小学校入学を期に、高度制令都市へ移住してきたヴァリエンティアはその年度順に「1期生」「2期生」「3期生」と呼ばれている。スターティングコールによって超能力を得た子供達が0歳児~2歳児までであったため3期生までしかいない。
 特例である第二世代能力者には、このような名称は無く、個別に彼等の年齢に合った教育を受けている。
 また、ヴァリエンティアの中には少数だが「0期生」と呼ばれている1期生より一つ年上の者達がいる。彼等の進学先は、早期に完成した大学。例えば、結波市にある結波大学などだ。


 だが、この建設計画には問題があった。

 日本のヴァリエンティア人口はアンダーポイントまで含めると250万人に昇り、その全てが6つの高度制令都市で暮らしているという状況だ。

 例えば、沖縄県の結波市には50万人強のヴァリエンティアが集まっており、そこに超能力研究機関が集約されている研究地区がある。

 その人口密度は軽く大都市を上回る。

 広大な土地を有する北海道の高度政令都市を除き、日本にある5つの高度制令都市は新たに大学を建設するための土地が不足しているのだ。かと言って、高度制令都市を拡張することも難しい。

 そこで都市運営委員会はあらたな建設計画を発表した。


 2027年度、大学の建設が始まったこの年。
 三期生のヴァリエンティア達が中学校に進学し、小学校に通う学生は極少数だけになる。
 そして、2029年度は彼等が高等学校に進学し、中学校も小学校と同じ状態になった。
 こうして不要になった小中学校を改修、改築し、大学にすることにしたのだ。

 こうして土地不足という問題を解消しただけではなく建設費の問題も大きく軽減することができた。

 当初から「小学校」「中学校」「高等学校」「大学(専門学校)」をヴァリエンティアの年齢に合わせて新たに建設すると膨大なコストがかかると問題にされていたが、不要になった校舎を改装、改築することでコストを抑えることができる。

 現在すすめられている建設計画の中では、新たに建設する大学は二割程度しかない。
 八割ほどは、小中学校の校舎を改装、改築する計画だ。
 こうして建設費の問題もほぼ解消されることになった。


──中略──


 各高度制令都市で大学建設の指揮を取っているのは、結波市の建設で一躍、有名になった建築家グループ「LBM(Lucky Blue Moon)」だ。

 LBMは世界的にも評価されているデザイン性と安全性。それを支える革新的な技術と、多くの優秀な人材を有する独自のネットワークを持ってる。
 さらに特筆すべきは、LBMが驚異的なコストダウンを実現することだ。これは、あの結波市を建設したことで証明されているだろう。

 最後に2028年に開催されたデザインコンペティションにて、LBMの代表取締役兼建築デザイナー・金田素矢氏が述べたコメントを掲載しておきます。

「今回は非常に優れたデザインが多くて、ワクワクしながら選考しました。その反面、決めるのにずいぶん悩まされたけどね。評価や選考理由については、これから発表があるから任せることにして──
 先ほど、本当に僕がデザインしないのか? って話があったけど、うん、本当にしない。
 新たにLBMが携わる建設計画は全国規模のプロジェクトで、グループ設立以来の大がかりな仕事だ。そこで僕やクリス・ローランドがデザインに参加しないのを疑問に思っている人がいるみたいだけど、違う違う、逆だよ。だからこそ僕やクリスみたいな連中は裏方にまわるべきなんだ。
 このプロジェクトにはキミ達のような、有能で意欲的な若手クリエイターの力でなければ成功しないからね。だからキミ達は、存分にその力を見せつけてくれ! 僕達はそのお手伝いをさせてもらうよ」


──『月刊デザインC 6月号』より抜粋


作:昌和ロビンソン