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超能力を持つ学生たちの青春を描くWeb小説『プラスチャイルド』のSSや設定などを公開しています。
制作:textscape

2014/08/01

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アイドル

 近年、ヴァリエンティアのアイドル(またはアイドルグループ)は珍しくないが、2022年頃はまったく見かけなかった。
 ティーンモデルとして活動していたヴァリエンティアも極少人数いたが、「ヴァリエンティア」という要素は出さずに細々とファッション雑誌などで活動していたような状況だった。
 各メディアに、超能力者となった子ども達を積極的に扱うことに迷いがあったのは確かだ。

 しかし、それも一人のアイドルの登場によって変わった。


高度政令都市から、ドキドキとワクワクとキラキラをあなたに!


 2024年。この言葉を掲げて、結波市の芸能事務所「チャーミング・ブルー」から当時13歳の猫姫がデビューした。

 猫姫は「ビースト化」と呼ばれている身体強化系変身能力を持つヴァリエンティアで、能力を発動させると猫の耳と尻尾を持つ獣人のような姿になる。
 猫姫のファーストシングル『猫姫のうた』の歌詞には、彼女のセーフティースペルが意図的に組み込まれている。そうすることで、13歳の美少女が歌の途中で猫耳の美少女に変身する、という演出を行ったのだ。

 このプロモーションによって猫姫は多くの人気を集め、動画サイトに投稿したPVは新人アイドルとは思えない再生回数を記録した。
 もともと抜群の歌唱力とチャーミングな容姿を持っていた猫姫は、続くセカンドシングル『お昼寝さんぽ』、サードシングル『少女博物館』も大ヒットし、一躍、人気アイドルとなった。


 そして彼女の活躍が、ヴァリエンティアに対する世間の印象を大きく変えたことは間違いないだろう。

 それまでの一般人は、高度政令都市に集められ、教育と管理を行われているヴァリエンティアに対して「得体の知れない子ども達」という印象を持っていた。
 『猫姫のうた』のプロモーションはそんな人達に、ヴァリエンティアがセーフティースペルで能力をコントロールしていること、彼らが自分達と同じ精神性を持っていることなどを余計な説明をせずにわかりやすく伝えた。
 彼女のプロデューサーがそこまで計算していたのかはわからないが、猫姫によってヴァリエンティアに対する世間のイメージが格段に良くなったのは確かだ。

 そして各メディアの迷いを払拭させるのにも充分だった。

 猫姫が人気アイドルになってからは、ヴァリエンティアのアイドルが続々とデビューするようになり、各メディアでも大々的に取り上げられるようになった。
 チャーミング・ブルー所属の『らいか』や男性アイドルグループ『Version17』はもとより、大手芸能事務所もヴァリエンティアのアイドルをデビューさせるようになり、『ササハラアヤノ』や『TR-∞』が人気アイドルとして活躍している。

 猫姫がデビューの際に使ったフレーズ『高度政令都市から、ドキドキとワクワクとキラキラをあなたに!』は、その後にデビューしたヴァリエンティアのアイドル達にも継承され『高度政令都市から~』というキャッチコピーは、様々な場面で使われている。読者諸兄も一度は目にしたことがあるだろう。


──斉藤正孝著『拡散するメディア。ビジネスモデル無き社会』より抜粋


作:昌和ロビンソン